第53回(社)日本透析医学会学術集会・総会開催のご挨拶
第53回(社)日本透析医学会学術集会ならびに総会にご参加頂きました皆様に,
心よりの御礼とともにご挨拶を申し上げます.
日本の透析医学・医療はこの40年間で著しい発展を遂げ,その治療成績は国際的にみても最高のレベルに達しているということができます.しかし,日本は世界一の透析人口比率を有しながら,欧米の国々と比較し血液透析患者数の多さに比べ,腹膜透析や腎移植を受ける患者数が極端に少ないというアンバランスな状況であります.さらに慢性糸球体腎炎に比較し糖尿病性腎症の予備軍がはるかに多いことから,透析患者数の増加に益々拍車をかけ,現在の増加率から2010年には維持透析患者数は30万人を突破するとも考えられています.このような状況を踏まえ,本学会では私が腎移植,血液透析,腹膜透析と腎不全医療全般に関わってきました経験や,腎不全総合対策委員長としての活動経験を生かし,日本腎臓学会,移植学会,腹膜透析研究会と協調し,患者さんが必要としている治療法を適切に提供できる,バランスのよい腎不全医療体制作りを目指そうとの意図を織り込みました.
バランスのとれた腎不全医療を行うには腎不全となった患者さんに対して,血液透析・腹膜透析・腎移植という3つの治療法の選択のチャンスを与えられることがまず重要であり,そのためには各治療法についての正しい知識を得るための教育プログラムや説明用のパンフレット等が必要であります.
つぎに患者さんが腹膜透析や腎移植など,必ずしもすべての施設で行われていない治療法を選択した場合でも,その治療法が適切に提供できるよう,中核病院を中心としたネットワークづくりが必要であります.そのためには個人の努力に頼るだけではなく,日本透析医学会,腎臓学会,移植学会,腹膜透析研究会の協調によるシステム作りが必要と考えます.
今回の学術集会において血液浄化に関しては特別講演「血液浄化療法の新技術」,「Uremic Toxinsと透析療法」をはじめとし,血液浄化器,透析液清浄化,バスキュラーアクセスなど血液浄化の根幹をなすテーマを中心として各領域を網羅しました.特に特別パネルディスカッション『未来へ歩む』では血液浄化の本流が何を成し遂げたかの実情,得られた知見や成果は医学的にどのような意義があるか,そして今後の血液浄化の研究課題と治療戦略の方向性について,パネラーが宿題報告の形でプレゼンテーションとディスカッションを行います.
腹膜透析は患者の高齢化や在宅医療の推進に伴い必要性が高まると考えられます.その普及のため,カテーテル留置術を行えない透析クリニックや,血液透析施設をもたない医療施設と基幹施設の連携を考慮したテーマを企画しました.
透析療法を余儀なくされている若い世代の腎不全患者さんが,健常者と同じように元気に過ごすことは,現在の血液浄化技術では困難であります.より良い血液浄化技術の開発はもちろんでありますが,健常者と変わらない生活を取り戻すためには,より多くの患者さんに腎移植を受けていただきたいと考えます.この思いから今学会では腎移植に関するテーマも多く取り上げました.
また近年の大きな問題として,合併症が多くADLの低下した高齢あるいは糖尿病性腎症患者の増加があげられます.この問題解決には社会資源を活用した在宅支援,介護の必要性があげられます.一方,終末期の問題も避けては通れないことから,生と死・命についても考えてみたいと思います.
会員の皆様方の研究成果,ご意見を頂き”未来へ歩む”ことができる学術集会・総会となりますよう,会員の皆様に心よりご協力をお願いいたします.
第53回(社)日本透析医学会学術集会・総会
(医)川島会 川島病院 院長
会長 水口 潤
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